スポーツでケガをしたときの「応急処置:RICE」を知っていますか?
スポーツの秋とよく言われますが、運動会などで張り切りすぎて転んで怪我をした話などをよく聞きます。
昔、走り幅跳びを見ている時に、目の前で勢いよく跳んだ人が着地の際に足首からブチ!とした鈍い音を聞いた事があります。その人は普段運動をあまりせず、周りからいわれるがまま調子にのって跳躍した結果、アキレス腱を切ってしまいました。(切れる時にはすごい音がするものですね)
その他にも、お子さんの前でヒーローを気取りたくて、100走やリレーに出場し足がついていけずに転んでしまったなんて話もよく見聞きします。こんな時に医療機関を受診するまでの間、ケガを悪化させず、できるだけよい状態に保っておくために「応急処置」を行う必要があります。
もしも応急処置を適切に行うことができれば症状の悪化を防ぐことができ、短期間で治すことに大変役立ちますので是非ご参考にしてください。
応急処置とは何か?
スポーツをやっている人にとってケガはつきものですが、不慮の事故によるケガは、いつでも、どこでも起きる可能性があります。競技場や練習場所にいつでも医者がいるような環境は中々ありません。そんなとき、医者に診せるまでの間、ケガを悪化させないで保っておく方法が「応急処置」となります。
いざというときのために、正しい応急処置の基本(RICE)を身につけましょう!
スポーツをする上で体調管理に注意し、十分な準備運動に努めてもケガをする事は少なからずあります。万が一、ケガをしてしまったときに備えて応急処置の基本(RICE)を覚えておきましょう。
・Rest レスト:安静・・・ケガの部分を動かさない
・Icing アイス:冷却・・・内出血や腫れを抑えるために冷やす
・Compression コンプレッション:圧迫・・・包帯などで適度に圧迫して、内出血や腫れを抑える
・Elevation エレベーション:挙上・・・ケガの部分を心臓より高く上げて、内出血や腫れを抑える
このRICEは、打った(打撲)、ひねった(ネンザ)など、スポーツでよく起こるケガの多くに対応できる方法です。また、これはあくまで「応急処置」であり、「治療」でありませんから、必ず整形外科かスポーツ医を受診してください。
RICEのやり方
・Rest(安静)
ケガをしているときに無理に動かしたり、足首や膝だと体重をかけるようなことをすると、痛みが増したり、ケガが悪化することがあります。ケガをした人をすわらせるなどして、患部を動かさないように、体重がかからないようにしましょう。
・ICE(冷却)
なるべく直接氷をあてずに、アイスパックをタオルでくるんだり氷で冷やします。そうすることで、痛みを軽くし、内出血や炎症を抑えることが期待できます。
一般的なのは、ビニール袋のなかに氷を入れて患部にあてるという方法です。氷をあてていると、ピリピリとした痛みがでてきて、やがて無感覚になります(約15~20分/1回)。そうなったらいったん患部から氷をはずし、再び痛みがでてきたらあてます。 冷やしすぎると患部に悪影響を及ぼす恐れがあるので、氷を直接あてずにタオルを巻いてからあてるようにするとよいでしょう。
・Compression(圧迫)
出血や腫れをふせぐために圧迫します。ネンザなどで腫れがひどくなると、痛みが強くなり、またそれだけ治るのに時間がかかります。伸縮性のある包帯でのテーピングなどで患部を、圧迫しながら巻きます。
圧迫が強すぎると、血流を悪くしたり神経を圧迫することがあるので患部の先が青くなったりシビレがでたら、いったんゆるめて青みやシビレがとれてから再び圧迫します。RICEをしている間は常に、圧迫している部位から先の手、足の指の色や感覚をチェックします。
・Elevation(挙上)
ケガをしたところを、できるだけ自分の心臓よりも高い所に持ち上げます。こうすることで内出血を防ぎ、痛みも軽くなります。いすや台、クッション、まくらなど、手頃な高さのものをさがして、患部をのせておくとよいでしょう
★参考までに★
近年は、RICEからPRICE、POLICEへと概念が変わりつつあります。
応急処置の手当の基本はRICE処置と言われてきましたが、安静だけでは、損傷した組織を保護できないことから、RICEにProtection(保護)を加えたPRICEと呼ばれる処置に変遷してきているそうです。さらには、急性損傷の早期管理として必要以上の固定や安静は悪影響を及ぼすことが分かってきており、RICEの安静(Rest)を、Optimal Loading(最適な負荷)に置き換えたPOLICEという概念が広まりつつあるそうです。
・Protection(保護):装具などで損傷組織を保護し、再受傷、悪化を防ぐことが目的。
・Optimal Loading(最適な負荷):早期において最適な負荷をかけることで最適な組織修復を促すことが目的。各組織、部位に対する適切な負荷は専門家の意見を聞いてから行うことを推奨しています。
「ケガ別の対応例」
・創傷
切り傷やスリ傷など。傷を流水で洗って清潔にし、消毒液があればそれを使用。ガーゼやタオルを強く押しつけて、(3分間ぐらい)圧迫止血する。傷の部位を心臓より高くすると血が止まりやすい。
・捻挫
骨折していないかどうかを調べてから、まず30分間ほど冷やし、固定してから患部を挙上する。マッサージは厳禁。挙上は翌日まで続ける。
・骨折
痛みなどがひどくならない範囲で折れた部分を正常な角度に近づけ、副木などで固定し専門医へ。
・打撲
足などはすぐにRICE処置。頭や腹の場合は全身の症状をチェックし、異常があれば迷わず119番をする。
いずれにしても、応急処置(RICE)を適切に行うことができれば症状の悪化を防ぐことが期待でき、短期間で治すことに繋がりますので、是非ご参考にしてみてはいかがでしょうか。